2019年06月28日

 長谷工コーポレーションは、国立研究開発法人防災科学技術研究所(以下、防災科研)と、マンション内外装関連(※1)の安全性・耐久性について共同研究を行いました。
 共同研究は、防災科研が兵庫耐震工学研究センターの実大試験体で震動台実験を実施する中、試験体の2階部分で、長谷工と防災科研が内外装および設備関連部材の挙動、損傷状況、安全性の把握などを行ったものです。
 震動台実験が行われた試験体は、集合住宅を想定してモデル化したもので、鉄筋コンクリート造10階建て、高さが約27.5m、重さが約930トンで、震動台実験の試験体としては世界最大規模(※2)となります。地震波は、兵庫県南部地震(M7.3)において神戸海洋気象台で観測された地震動(計測震度6.4、震度6強)の東西・南北・上下方向の成分を使用して三方向同時に加震しました。
 試験体に設置した当社の基本的な仕様の内外装および設備関連部材は、加震毎に損傷の程度は若干大きくなるものの、兵庫県南部地震(M7.3)の揺れを4回再現した後でも継続使用が十分に可能であり、安全性、耐久性の確認ができました。
 今後も、安全・安心、快適な住まいを提供するべく、地震に強いマンションづくりのための研究・技術開発を進めるとともに、時代やニーズに対応したマンションを企画・設計してまいります。

(※1)ALC外壁、外装タイル仕上げ、玄関スチールドア(SD)、内装壁(せっこうボード、クロス)、収納建具、給水立て配管
(※2)2019年5月末時点

[世界最大規模の実大試験体の全景(高さ約27.5m)]

【実験概要】
≪防災科研による実験≫
建物試験体:鉄筋コンクリート造10階(平面;13.5m×9.5m、高さ;約27.5m(※3)、重量;約930t)
試験体①普及型高耐震技術(基礎すべり)、②高耐震鉄筋コンクリート(基礎固定)
地震波:JMA神戸波(最大加速度818gal、加震時間48秒)(※4)
(※3)震動台実験に用いられる試験体としては世界最大規模の高さ(2019年5月末時点)
(※4)兵庫県南部地震(M7.3)において神戸海洋気象台で観測された地震動(計測震度6.4、震度6強)のNS(北・南)、EW(東・西)、UD(上・下)方向の成分を使用しての三方向同時加震

≪当社と防災科研による実験≫
建物試験体の2階に、玄関スチールドア付きのALC外壁の部屋を製作して、内外装の挙動や損傷状況、収納建具の固定方法に関する安全性などを検証

①内外装および設備関連部材の挙動、損傷状況、安全性の把握
外装;ALC外壁の挙動・損傷状況、玄関スチールドア(SD)の挙動・損傷状況、タイル仕上げの挙動
内装;内装壁の損傷状況、クロスの損傷状況、収納建具の固定状況、収納建具の耐震ラッチ
構造;加速度測定による内外装部材が受ける変形度合の把握
設備;給水立て管の可とう性(※5)
(※5)物体が柔軟であり、折り曲げることが可能である性質

② 収納建具の固定方法に関する安全性の検証(壁下地あり)
収納建具の仕様;H1,800mm、W900mm、D300mm、重量200kg(収納建具70kg+収納物130kg)

[内外装実験室(ALC、SDの挙動計測)]
[内外装実験室(収納建具、内装仕上げ状況)]

【耐震性能の検証結果】
■内外装および設備関連部材の挙動、損傷状況、安全性の把握

(1) ALC外壁・・・・・・軽微な損傷、構造上および継続使用に支障なし
(2) 外装タイル仕上げ・・・軽微な損傷、継続使用に支障なし
(3) 玄関スチールドア・・・擦り傷やへこみ等の軽微な損傷、開閉に支障なし
(4) 内装壁・・・・・・・・隙間や軽微な損傷、大きなダメージは見られず
(5) 給水立て配管・・・・・・管本体および継手部ともに損傷・漏水なし
■収納建具の固定方法に関する安全性の検証
全ての加震実験において収納建具の転倒は無し
※実験の様子は動画にてご覧いただけます
(URL)https://youtu.be/tQc7ACGn_Kk   

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