信頼される組織風土
社外取締役メッセージ

当社は、重要な議案については取締役会とは別に、取締役会メンバーによる意見交換会を機動的に実施し、十分な時間をとって議論することで社外取締役の経営執行に対する監督・助言を積極的に図っています。

社外取締役の多様性および実効性ある監督機能の確保

社外取締役 一村 一彦

当社は創業以来、良質な集合住宅を広く供給することを目指し、マンションの建設に邁進してきましたが、近年ではマンション単体の建設だけでなく、街を作るといった観点から機能を複合化した都市開発を推進しており、これにより更なる優良な住宅の供給、住みやすい生活空間の創出や子供も高齢者も参加できる人に優しいコミュニティの形成に大きく寄与しております。収益面でも単体の売り上げ増加のみならず、サービス関連分野を担うグループ会社との連携も強化され、連結ベースでの価値向上にもつながっております。
更に、利便性が高く人・物の移動が少ない『コンパクトシティ』の開発は再生可能エネルギーの導入と併せ、低炭素社会の実現に向け、社会的ニーズも極めて高く、当社が培ってきた企画力、技術力、グループ会社の有する様々なサービス機能の全てを注ぎ込んで取組むべき分野であります。都市開発によって新しく生まれる街は最新のソフト・ハードで装備されており、快適で安全で安心して暮らせる街として人々が『住みたい街』として社会的に高い評価が得られます。
当社にとって祖業である事業が都市開発という手法を取込むことにより、その推進が社会的価値を生み出し、同時に当社の経済的価値をも生み出すこととなり、当社にとっては持続的な成長の大きな柱となるものと思います。

社外取締役 長崎 真美

当社の事業の中心はマンション建設ですが、近年は物流施設等の非住宅の建設、賃貸マンションの開発などにも力を入れており、事業エリアが拡大してきています。企業の持続的な成長には新たな分野への挑戦が必要であり、経営陣の果敢な挑戦を支えていくために、社外の目で客観的に見て意見を述べる等により、当社の経営に貢献したいと考えています。
私は、企業法務を中心とした実務経験を積んだ弁護士ですが、建築関係の紛争解決に取り組んできたほか、投資法人の執行役員の経験があります。投資法人の執行役員の主な役割は、投資家の利益を守るための運用会社を監督、コンプライアンスの徹底であり、株主の利益の代表者として経営を監督する社外取締役の職務に、当時の経験が役立っていると感じています。
また、当社では不動産開発・投資に関する案件の付議も増えてきており、リスクの評価・判断に加え、収益性・投資効率の観点からの率直な意見も述べさせていただいております。
今後の課題として、建設業界は人手不足に加え、残業規制が強化されるいわゆる「2024年問題」も目の前に迫ってきています。DXによる省人化にも取り組んでいるとはいえ、物づくりには人の力が欠かせません。多様な人材(人財)の活躍は、企業価値の向上に不可欠であり、組織全体として社員が力を発揮できる環境が整っているかについても注視しながら、忖度せずに意見を申し上げるよう、心がけていきたいと思います。

社外取締役 小椋 敏勝

社外取締役として役員・従業員の皆さんと接していると、「当社は他社にあまり類を見ない強みを二つ持っている」ということを感じます。
一つ目は、地権者の方々と誠意を持って対応して得た土地にマンションを建設してデベロッパーの方にお渡しするという独自のビジネスモデルを持っているという強みです。長谷工コーポレーションという社名は知らなくても、「マンションのことなら長谷工」というコマーシャルソングを知らない人はほとんどいません。
二つ目は、二十数年前に企業としての存亡の危機を経験しているという強みです。この経験を踏まえて事業展開の要所要所で取締役会等のチェックが働くシステムが確立されています。
一方、今後の市場環境等を勘案すると、新たな分野へのチャレンジなしでは当社のより一層の発展は望むべくもありませんし、社会全体の変化のスピードは速さを増すばかりです。そのような中、この二つの強みに固執しすぎると大きなビジネスチャンスを失ってしまいかねません。しかし、当社の事業運営の源泉は、この二つの強みであることを常に心して事に当たることが肝要です。
幸い、役員・従業員の皆さんは、このことを十分に認識して業務を推進されていますが、企業経営の主要事項に関して監督・助言する社外取締役として、今後も当社がこの二つの強みをベースに持続的に発展し、それを通じて企業価値の一層の向上を図ることができるよう努めてまいります。

社外取締役 藤井 晋介

今後日本の人口や戸数の減少は確実で、国内マンション事業は市場シェアを伸ばせたとしても頭打ちになってしまうことが不可避です。そのような状況下、当社は取締役会での議論を経て次の成長ドライバーを不動産事業と海外事業等に求める方針を打ち出しています。
海外事業の方針策定に於いては、その重要性に鑑み昨年取締役会のメンバーで意見交換会を開催しました。別途十分な時間を取ったことによって多数の取締役から忌憚のない意見が出された結果、取締役会の議論を補充するとても良い会合になったと思います。当面は米国本土を主戦場として、また、対象事業領域は住居関係領域とし、その中でも市況の影響が比較的軽微な賃貸マンションやシニア施設を中心に取り組んで行く方針となっています。
私は、以前勤務していた三井物産で全社の投融資案件を審査する会議の委員長や海外不動産事業の管掌役員をしていた経験も活かし、様々な観点から意見を述べさせて貰いました。推進母体のあるべき組織体制や、ややもすれば低収益となりがちな賃貸事業では、早期に稼働率を上げ、短期で売却し回転させていく時間的な価値と資本効率を重視した経営が大事といった株主目線からのアドバイスがその一例です。これからも単なる収益の向上だけではなく、株主からの成長期待が高まるような取組みに貢献したいと思っています。

社外取締役 伊澤 透

マンションに係る事業は、設計、着工から物件の引渡しまでを含め事業の期間が長く、その間の市場環境の変化等がリスクとなります。また、取得した土地には時価の変動や流動性が高くないといったリスクがあります。さらに、マンション建設に当たっては周辺の皆さんへのていねいな対応が欠かせません。
当社は、早くから土地持ち込み特命受注方式というビジネスモデルを確立し、長年の創意工夫と経験によりこうしたリスクや課題に対応し、国内ナンバーワンのマンション施工実績を持つ企業となっています。
しかしながら、当社を取り巻く状況は年々歳々変化してきており、これらのリスクや課題への対応方策についても不断のチェックと見直しが欠かせません。
その上、近年は資材・労務費の高騰、受注環境の激化が著しく、また、水害、土砂災害や震災が各地で頻発しています。さらに、少子化、高齢化、人口減少の進展により、地域社会の存立、各業界における人材の確保等に大きな影響が発生しつつあります。
こうした多岐にわたる課題に適切に対処するため当社は様々な方策を講じていますが、私たち社外取締役も知見を持ち寄って業務をチェックするとともに、適切な助言をしていくことが必要であると考えています。
また、取締役会等における議論や検討の成果等を適宜発信・説明することで関係者や市場の理解や評価が高まり、当社の持続的成長につながっていくものと考えます。 長谷工の住まいなら安全・安心で未来に希望が持てる、長谷工に投資したい、長谷工の職場や現場で能力を存分に発揮したいと思ってもらえるよう、今後とも努めてまいります。

社外取締役のスキル・マトリックス