信頼される組織風土
人権尊重
人権に関する基本的な考え方
長谷工グループでは、「長谷工グループ行動規範」の中で「人権の尊重」を明文化しています。また、人権尊重を図る取り組みを深化させるため、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に沿って、2022年1月に「長谷工グループ人権方針」を策定しました。グループの社員一人ひとりが人権に対して理解を深め、常に高い意識を持って業務にあたることができるよう、グループ内での浸透を図るとともに、協力会社等のサプライチェーンに対しても、人権を尊重した事業活動を要請しています。また、人権デュー・ディリジェンスの取り組み等を通じて、人権に配慮した経営に努めていきます。
長谷工グループ行動規範(抜粋)
2. 行動の基本姿勢
(4)人権の尊重
あらゆる企業活動の場において、すべての人の基本的人権を尊重し、人種、国籍、出生、信条、宗教、性的指向、性自認、年齢、障がいの有無等の理由による差別や個人の尊厳を傷つける行為を行わない。
長谷工グループ人権方針
人権デュー・ディリジェンスの取り組み状況
「長谷工グループ人権方針」の策定に伴い、現在、人権デュー・ディリジェンス(以下、人権DD)の取り組みを進めています。人権DDは、事業活動に関連して発生しうる人権侵害のリスクを特定・評価したうえで、予防・軽減措置を講じ、その効果を確認してPDCAを回すことにより、人権尊重の取り組みの実効性を高めていく継続的なプロセスです。
人権尊重の取り組みの全体像

対応すべき人権課題の特定
長谷工コーポレーションの経営管理部門及び協力会社との窓口である建設部門にて「人権ワーキンググループ」(以下、人権WG)を組成し、グループの事業活動に関連して発生しうる人権侵害のリスクを洗い出し、深刻度と発生可能性の観点から評価を行うとともに、関連する部門やグループ会社の対応状況等につき確認し、対応が必要な人権課題を特定しました。
特定した人権課題
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人権課題 | 主なリスク |
---|---|
サプライチェーン上流の人権課題 | ◆木材伐採現場等、建設資材生産の上流における労働問題や地域住民の生活環境への影響 |
強制労働・児童労働 | ◆建設現場やサービス提供現場における協力会社の外国人技能実習生や若年労働者に関わる労働問題 |
労働安全衛生 | ◆建設現場やサービス提供現場における従業員(自社及び協力会社)の生命や健康に関わる事故 |
雇用・労働条件 | ◆長時間労働 ◆協力会社の雇用・労働条件 |
ハラスメント・差別 | ◆自社内または自社・協力会社間で発生するハラスメント ◆サービス提供現場における、お客様への/お客様からのハラスメント |
地域コミュニティへの影響 | ◆建設現場の近隣にお住いの方の生活環境への影響 |
お客様の安全安心 | ◆介護現場やお客様の居住空間におけるサービス提供時の事故 ◆お客様の個人情報・プライバシー |
予防・軽減策の検討・実施
今般特定した人権課題の多くは、従来から展開している「リスク予防活動」の中で、「全社共通リスク」あるいは「部門固有リスク」として認識をし対策を講じてきているものです。
今後のリスク予防活動では、これらのリスクについて、人権課題としての認識の浸透を図り、対策の継続・強化を進めていく方針です。
一方、特定した人権課題の一部には、従来はグループの課題としての認識が薄く、実態が十分に把握できていないものがあります。このため、こうした人権課題への対応としては、まず、実態の把握に向けた検討・取り組みを進めていく方針です。
この一環として、協力会社が雇用している外国人技能実習生については、以下のアンケートを実施しました。
協力会社に対する外国人技能実習生に関するアンケートの概要
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対象 | 「建栄会」(長谷工コーポレーションの協力会社組織)、「建翔会」(不二建設の協力会社組織)及び「住優会」(長谷工リフォームの協力会社組織)の会員企業 |
実施時期 | 2022年7~8月(建栄会の場合) |
内容 | 外国人技能実習生の雇用状況、労働環境(処遇、労働時間、安全衛生等)及び生活環境(住居提供等)につき確認するもの(各協力会社が契約している協力会社(二次協力会社)が雇用している外国人技能実習生の状況に係る把握状況の確認を含む) |
結果及び対応 | 外国人技能実習生の処遇等について、協力会社において概ね適切な対応が行われていることを確認。併せて、外国人技能実習生の処遇等に関する留意事項等について周知を図った。 |
人権DDの取り組み体制
特定した人権課題及びそれに対する対応状況については、取締役会まで報告を行っています。今後、継続的に実施していく人権DDの状況等については、長谷工コーポレーション社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」に報告し、レビューを受けています(サステナビリティ委員会での審議・報告事項については、取締役会に報告され監督される体制となっており、特に重要な事項については取締役会に付議し審議の上決定しています。)。
なお、実務的な対応については、引続き人権WGが中心となって検討・実施を進めてまいります(人権WG内では、対応事項に応じて主担当部を決めて対応を進めています。)。
人権WGの概要
◆構成部署:サステナビリティ推進部、リスク管理部、人事部、人材開発部、経営企画部、建設企画部(いずれも、長谷工コーポレーションの部署)
◆メンバー:構成部署の担当役員、部長、チーフ等
◆責 任 者:サステナビリティ推進担当役員
人権に関する相談の受付・処理体制
長谷工グループでは、グループの「全役職員」「全事業所における労務提供者」を対象とした「内部通報相談制度」を設けており、法令違反行為に限定せず、社内ルール違反やハラスメント、人権問題等、コンプライアンス上問題のある行為を早期発見・早期是正が図れる体制を構築しております。
また、一般の方を含めグループの企業活動に伴う人権侵害懸念等に関する相談については、2022年6月弊社ホームページ上に新たに設置した「人権相談窓口」にて受け付けております。
なお、受付けた案件については、機密性および匿名性に配慮し対応いたします。
- 関連情報
教育・啓発等
長谷工グループでは、人権に対する意識を醸成するための取り組みの一つとして、新入社員の導入研修で人権に関するテキストを配布しています。
また、2023年2月には、「長谷工グループ人権方針」策定以降の人権DDの取り組み等の進捗も踏まえ、グループの全役職員(派遣社員を含む)を対象に、人権に関するeラーニングを実施し、基本的な知識と人権尊重意識の浸透を図りました。
この他、派遣社員やパートタイマーを含むすべての従業員を対象に、就業規則等でハラスメントに該当する行為を禁止しており、ハラスメントを予防するために、社員向けのeラーニングで定期的に教育を行うほか、社員に配布している『コンプライアンス通信』や社内掲示のポスターを通じて、啓発を行っています。
さらに、結社の自由や団結権、団体交渉権、団体行動権を企業として尊重すべき基本的な要素と考え、その旨を労働協約の中で定めています。